最近ヴィーガンレザーってよく聞くけど、「なんか良い」としかわからないなあ‥。デメリットはどうなのかな?
今回はこういった疑問に答えます!
最近では”エシカル”や”サステイナブル”の流れが来ていて残念ながらビジネスとして売り出すところもあるようなので、良いものとそうじゃないものを見分けるリテラシーをつけてちゃんと見分けられる能力が必要とされます。
では早速いきましょう!
ヴィーガンレザーとは
ヴィーガンレザーとは、動物の皮革を使わず本革の繊維構造を人工的に再現した素材のことです。
ですが、ここでいきなり注意点があります。そもそもヴィーガニズムの定義は「人間ができる限り動物を搾取することなく生きるべきであるという主義」のことです。なので、今までフェイクレザーと呼ばれていた石油などでできた化学繊維も総称としてはヴィーガンレザーに含まれます。下のようなイメージです。
このようにヴィーガンレザーには、
・合成皮革(合皮) ・人口皮革 ・天然植物素材 の3種類があります。
合成皮革
合成皮革とは、ナイロンやポリエステルなどをベースとした生地をポリウレタン樹脂でコーティングした、革っぽい見た目のものです。
メリット
石油由来なため大量生産することができます。そのため、安価でデザインの色や種類も豊富な場合が多いです。また、化学物質なためプラスチックやビニールと同じように水をよく弾き、汚れにも強いと言えます。
デメリット
やはり耐久性や通気性などの全体の品質は、本革には敵わないようです。
本革は持ち味である「エイジング」を楽しむことができますが、ポリエステルは加水分解を起こすため使用せずに放っておいてもベタつきやひび割れなどの劣化が起きます。耐久年数は5年ほどと言われています。
人口皮革
合成皮革と素材は同じですが、製法が異なります。人口皮革は”特殊不織物”と呼ばれる”ナイロンやポリエステル繊維を立体的に絡み合わせた素材に、ポリウレタン樹脂を浸透させたもの”を使用しています。
メリット
人口皮革のメリットは、なんといっても本革と見分けがつかないほどの再現度です。また本革に劣るとはいえ、見た目だけでなく耐久性や質感も優れています。
耐久年数も7年程度と、合成皮革に比べて比較的長く使用することができます。
デメリット
デメリットは、やはり再現度が高いが故に値段も高くなっています。
そして、耐久年数は長めといっても原料は同じなので合成皮革と同じように加水分解は起こします。
植物皮革(バイオレザー)
植物皮革は、名前の通り主に植物由来の素材から作られたレザーです。まだまだ普及段階なようで、スタートアップ企業が多く、優れた技術であっても、流通に苦戦して数年で撤退…という残念なパターンも多々ある分野なようです。
メリット
植物由来ゆえ土にかえるため、地球環境に優しくサステナブルです。また、動物を利用しないので動物愛護の観点でも注目されています。
そして、合皮と人口皮革と同じように、軽くて水に強く汚れにくいというポイントも持ち合わせています。
デメリット
原料をリサイクルする工程など、手間がかかるため合皮や人口比較に比べれば高価になってしまいます。本革に比べた際の質については、まだ未知数で、これからに期待といった感じです。
植物皮革(バイオレザー)を掘り下げてみる
現代には、え、それ使えるの!?というようなユニークで新しいレザーが数多く誕生しています。
アップルレザー(アップルスキン)
アップルレザーは、ジュースを作る際に今まで廃棄されていたりんごの皮や芯から作られている、環境や動物に優しい革新的な素材です。粉末状にしたりんごの皮や芯をウレタン樹脂と合成し、コットンやポリエステル地にコーティングすることで、レザー調に仕上げられています。
また、アップルスキンは環境に優しいだけでなく、りんごの粉末が混ざっているため、従来の合成皮革よりも通気性に優れています。 アップルスキンが生まれるまで
なんとあのWマークの自動車メーカー「フォルクスワーゲン」がシートの表面にアップルレザーを採用するなど、次世代の新素材として注目を集めています!
下のInstagramの投稿は、カナダのブランドSAMURAがアップルスキンで作った財布です。すごく美しいですよね。
ピニャテックス(パイナップルレザー)
次なる革新的な素材は、廃棄されていたパイナップルの葉からできたPINATEX/ピニャテックスです。
ピニャテックスはイギリスのロンドンにあるAnanas Anam社によって開発されました。
素材の内訳は、厚みや色にもよりますが、
・パイナップルリーフ繊維 :72% ・PLA(ポリ乳酸) :18% ・PU(ポリウレタン) :10% となっています。「ポリウレタンって例の加水分解起こすやつじゃないの?」と思うと思いますが、ポリウレタンにも加水分解するものとしないものがあり、ピニャテックスには加水分解しないものが使われているそうです。ちょっと小難しい話になるので、知りたい方だけどうぞ。ポリウレタンの種類
ピニャテックスを1平方メートル作るには、およそ480枚の葉が必要で、これはパイナップルの樹16本分にもなります。パイナップル農家は、これまで廃棄していた葉を売ることで新たな収益を得られるようにり、また繊維の生産工程で残った資源は肥料として農場にまくことができるそうです。参考
これで環境にも動物にも優しいわけですから、もうwin-win-win-winぐらいですね。笑
サボテンレザー
次なるヴィーガンレザーはなんとサボテン!サボテンの葉の粉末を加工して生産されています。
開発したのは「Adrian and Marte(エイドリアン アンド マルテ)」という、サボテンが自生する国メキシコの第二の都市グアダラハラに拠点を置く、ヴィーガンレザー「Desserto(デザート)」の製造を手がける企業です。
サボテンは多肉類でゴツゴツしているため触り心地や見た目も本革に似ていて、色も厚さも必要に応じて変えることができます。さらに耐久性も十分にあり、計算上は10年ももつそうです。
ヴィーガンレザーにサボテンを選んだのは、「サボテンはほとんど水がなくても育ち、かつ他の植物と同じように二酸化炭素も吸収するから」だそうです。
なんと、 2030年までに天然素材のみを使用することを目標としている「H&M」は、ピニャテックスとサボテンレザーで作られた部品の販売を開始しています。
サボテン最強ですね。✨
マイロ™(きのこレザー)
なんとキノコです。斬新かつ革新的すぎますよね!
バイオテクノロジー企業 ボルト スレッド(BOLT THREADS)社が開発した、キノコを支える根の役割を果たす菌糸体から作られています。
そんなマイロ™はリアルなアニマルレザーと同等のクオリティでありながら、天然資源を栄養として2週間弱で成長し再生可能だといいます。天然皮革の生産において問題視される温室効果ガスの排出量や排水量を削減し、フェイクレザーのようには石油を使用しないことから、まったく新しいサステナブルな素材といえます。
なんと「ステラ マッカートニー」はマイロ™を使った世界で初めてのアパレルを発売しました。そして2024年までにバージンポリエステルの使用を廃止するという、「アディダス」もマイロ™を使ったスニーカー「スタンスミス マイロ(STAN SMITH Mylo)」を2022 年より発売予定だそうです。
流れが来ていますよね。
じゃあ本革は動物にも環境にも悪いのか?
結論いうと、今の段階ではそうとも言えません。
本革に使われている動物の皮は、肉を食べられた動物たちのものでできていて、本革のためだけに牛などを殺すことはほとんどないようです。産業廃棄物を利用しているといった感じですね。
なので畜産業があるうちは本革が環境に悪いとも言えません。それに現段階ではエイジングなどの本革にしかない味があるようですからね。
ですが、この先10年はどうなるかはわかりません。今や誰もが知っている言葉”地球温暖化”をきっかけにサステナブルの流れが来ていますから、肉食文化が衰退し、ヴィーガンレザーが主流になるかもしれません。そしてその時にはもっと技術も進歩しているでしょう。
まとめます
こうして記事を書いていると改めて思いますが、時代は間違いなく、”地球と動物に優しいサステナブル”という方向に向かっています。
でも今ある肉食文化や畜産農家さんを否定するわけにもいきませんよね。
うまーく、平和的に社会が変容していけたらいいですね。
では今回はこれで以上です。読んでくださってありがとうございました。